本地垂迹(ほんじすいじゃく)

 本地垂迹説は神仏習合の理論的基盤となる思想ですが、両者は厳密には異なります。本地垂迹説は神々の本質を仏や菩薩とする教義であり、神仏習合は実際に神社と寺院で神と仏が共に祀られる現象を指します。例えば、天照大神は大日如来の垂迹とされ、神と仏が矛盾なく共存する信仰体系を可能にしました。 

 この思想は単なる宗教理論にとどまらず、政治的・社会的にも重要な役割を果たしました。国家神道と仏教の権威を結び付け、支配の正当性を宗教的に裏付ける装置としても機能しました。また、日本人の多神教的な宗教観と仏教の慈悲思想を調和させ、精神的統合を促す役割も担いました。